北澤豪さん(左)と社長の小川建二郎(右)

楽しく正直に

小川
小学生の時に「キャプテン翼」が流行って、一部の友達はサッカーに流れたのですが、私は野球でした。

北澤
試合にはご両親も応援に?

小川
共稼ぎで忙しくて、全く来なかったです(涙)。 でも周りに友達がたくさん居たので、楽しかったんですよね。
理系科目が好きだったのと、「建築マンってかっこいい」という思いがあって、高校卒業は建築の専門学校に入ったのですが...

北澤
そこでも友達が多かったんですね。

小川
はい、夏はサーフィン、冬はスノボと、毎日楽しく遊んでいました(笑)。
卒業後、所帯がまだ100人程度だった現在の株式会社夢真に、建設技術者として入社し、その後営業職へ。 専門学校の同期も一緒に入社したので毎日遊んでいたのですが、知らぬまに次長POSTまで昇進していまして...(笑)。

北澤
知らぬ間に次長までとは、夢のような世界(笑)。 でも着実に成果を出されてきたからですよね。

虎ノ門のビル群を背景に

小川
東日本大震災の翌年、仙台営業所・所長を拝命し、家族と共に転勤しました。 早速、太平洋側の海岸へと状況視察に赴いたのですが、瓦礫が全く片付いていなくて...。
当社は建設技術者派遣を手掛けていますが「このエリアで自分が何をやらなければいけないのか」と考える機会にもなり、「自分が震災復興を進めるんだ」という強い想いを抱くようになりました。
復興現場では常に人手不足でしたが、関東の建設技術者にも声をかけるなどし、「有能な人材供給」という形で復興の一端を担えたのではないかと思います。

北澤
震災直後から僕らも東北に入っていました。 支援物資を届けたり、メンタルケアの必要性が明らかになる頃からはチャリティサッカー教室を開くなどして、積極的に関わる必要がありましたよね。

小川
そうですよね、私も北澤さんのご活動ぶりをネットなどで拝見していました。
その後、福岡や大阪の営業所長も経て、東京本社での副社長を命じられました。 所長業を一生懸命やってはいましたが、それはそれで楽しかったんですよ。 しかし副社長ともなると、意思決定を間違えることで会社が傾く可能性もあるし、重責を担う器でも無いですし、受けたくなかったのは事実なんです。 このままいくと、社長になってしまいそうで...(笑)。

北澤
そして、2021年7月に株式会社夢真の社長就任ですか。
変に隠さず、ご自身の想いに正直でとてもいいです(笑)。

日本を代表する
"あの競技場"建設にも

小川
当社の事業についても紹介させてください。 先ほども簡単に紹介しましたが、建設現場への技術者派遣業を営んでいます。

北澤
職人さんではなく、建設技術者(エンジニア)の派遣業なんですね。

小川
そうなんです。 建設資材を組み立てたり、コンクリートを流し込むような仕事では無く、職人さんに指示を出したり、様々な管理を担当しています。 日本を代表するあの競技場や野球スタジアムの建設にも携わっていましたし、当社の本社がある虎ノ門界隈(東京都港区)の大規模ビル建設現場には、ほぼ間違いなく当社の建設技術者が就業しています。

北澤
殆どの大手ゼネコンの建設現場で、夢真の建設技術者が活躍しているんでしょうか。

小川
はい、大手ゼネコン全社との取引があります。 当社で活躍している約6000名の建設技術者が居なかったら、国内の建設現場が成り立たなくなる恐れもあります。 われわれの業界二番手企業に在籍している建設技術者が3000名弱ですから、現在のところ当社は圧倒的なNo.1のシェアを誇っています。
この建設技術者は「男性の仕事」と思われがちですが、女性でも十分活躍できるんです。 建設業界全体の女性比率は16%程度と言われていますが、当社では25%が女性です。 また未経験者の採用にも積極的に力を入れ、今年は2000名を見込んでいます。

北澤
未経験者に対する教育システムが充実しているんですよね。

小川
はい。 未経験者の登用をこの業界で強く進めてきたのが当社ですので、その部分ではどこにも負けない自信があります。

皆で決めた"No.1"の
企業理念

小川
当社の企業理念についても紹介させてください。 これは私が社長に就任してから創り上げたものです。 一般職や若手管理職にも参加してもらって、目指す未来像についても議論し、皆(※3)で決めたものです。

※3: 営業部門や採用部門、管理系部門の社員

株式会社夢真の経営理念

経営理念 建設技術者人材業界において圧倒的 No.1を目指し挑み続ける
ビジョン 人が集まり、働きたい会社になる
ミッション ① 雇用を創出し社会人の教育機関として世の中で活躍する人材を一人でも多く育成します ② 人材供給と技術提供を通して建設業界の発展に貢献します ③ 改善改革し続け、関係する全ての人の満足度を高め続けます
アクション 雇用創出
経験・年齢を問わず機会を創る
人材育成
研修制度・フォロー体制を充実させる
人材供給
建設業界の将来を担う人材を輩出する
技術提供
顧客のニーズに幅広く対応
改善改革
様々な職種に挑戦できる環境
満足度向上
成果が反映される人事制度の整備など
個々の市場価値を高め、ディーセント・ワークを実現する 建設業界に影響をもたらし、革新し続ける 活気に溢れ仕事を通じてやりがいを感じられる、多くの人が働きたいと思える環境を提供する
夢真のアクションと
グループ・パーパス
との関連性
機会を創り、技術者の可能性をひらく 建設業界の発展は、結果的に技術者の可能性をひらく 技術者にとっての「幸せな仕事」を創出する
継続的に夢真がアクションすることで、当社グループのパーパスが実現するフロー
【当社グループのパーパス】 幸せな仕事を通じて ひとりひとりの可能性をひらく社会に

小川
役員らが決めた"上から降ってきた企業理念"だと、心の中で「やらされている」「言わされている」という受け止めになってしまい、皆が「実現しよう!」と意識しづらいと思うんですよね。 だから、創る際も、実現を進めていく際も、皆で自由に議論できるような場を設けていきます。
その試みの一つとして、自由参加型の「ランチ会」を開催しています。 ランチ代は会社負担で、気の合うメンバーと一緒にランチをしながら、ほんの数分で良いので"グループのパーパス"か"当社の企業理念"について話してもらう。 あとは、日常の話や面白い話で、自由に楽しんでもらっています。 「やらされている感」無しで、パーパスや企業理念を意識してもらえれば良いと思っていまして、その先に企業理念の実践があるのだと考えています。

北澤
企業理念やミッションが体系立てられているので、社員の皆さんが少しでも「自分は、この部分のアクションができている」と感じられるといいですよね。 ご自身の専門分野や、社内でのコミュニケーション、学びの機会など、様々なシーンで「この企業理念に関わっていてよかった」と思ってくれるのではないでしょうか。

小川
実はこの企業理念、設定時に「ダメだ」と言われたんですよね。 グループ内や外部からも「何のNo.1だ?」と。

夢真の企業理念

建設技術者人材業界において
圧倒的 No.1を目指し挑み続ける

北澤
「No.1を具体的にしなさい」ということでしょうか。

小川
売上No.1なのか、人数No.1なのか(前述の通り、現在は業界1位)、それとも人気No.1なのか、目指すものは色々あるんですが、皆で話し合って「No.1」という表現にしました。 誰もが認めるNo.1になる。 つまりわれわれが強い存在になれば、今以上に「技術者の賃金を上げ、雇用も創出できる」企業にもなれると思っています。

北澤
No.1という実績を持つことによって、影響力のある主張ができるようになる。 スポーツの世界も同じですが、建設業界でも同じですよね。 「No.1こそが全て」という傲慢な話ではなく、パーパスを実現していくための「働く人にとっての環境を良くしたい」という改革を進めるためのNo.1は素晴らしい。

楽しく実現を

北澤
パーパスとか企業理念って、強制的に「浸透を」と言われるのは嫌ですよね。 でも、自由な感じのランチ会や、企業理念を皆で決めるといった雰囲気作りが上手ですよ。 広い執務室にもお邪魔しましたが、とにかく空気感が明るい。 社長が来たらパッと机に向かうなど雰囲気が変わることがありそうですが、逆に皆さんが楽しそうでしたよ。

小川
一緒に仕事をして、皆がいきいきしているとか、楽しいといった顔になっている。 そういう場を創っていきたいと思います。

北澤
グループのパーパスや、株式会社夢真の企業理念を、皆さんが楽しみながら自分たちの手で実現していく中で、この会社に属している「誇り」を感じるようになるでしょうね。 パーパスや企業理念の実現を目指しつつも、小川社長ご自身の根底にある「皆さんで楽しもう」というお考えがとてもいいです。 人が付いてきますね(笑)。

小川
ありがとうございます。 当社の従業員にも自分自身に対しても、自然に楽しい環境でパーパスと企業理念への理解を深め、実現していきます。